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風の大陸 第1部 邂逅編 竹河 聖 --1

風の大陸〈第1部 邂逅編〉

風の大陸〈第1部 邂逅編〉

  • 作者: 竹河 聖
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 1988/11
  • メディア: 文庫

本文から引用ね。5ページ目。

古代を超え、紀元をも遥かに越えた時代。
 大洋の中にその大陸はあった。
 かつては大陸全土が統一され、華やかに栄えていたが、1000年ほど前から数度起こった大災害と、氷河時代の終焉による海面の上昇、そして全土をひたひたと侵食する砂漠化が、大陸全体を荒廃させ、大陸を統一していた共和国の体制は崩れ、群雄割拠の時代を迎えていた。
 全土は麻のように乱れた。

ファンタジーに必要な背景の、端的なもの。
この世界にコンビニと百貨店はなくて、スーパーで特売もしてません。
と言う。説明。
なんて言うか絵巻調な始まり。

風の大陸の一巻。懐かしい。確か他の本と間違えて買ったんだった。
何と間違えたかはその内思い出そう。

この始まりが引っかかったのは覚えてる。

なんと発売は昭和63年。うわぁ。昭和だよ。

ファンタジーはなんせファンタジーなので突っ込み所は少ない。
笑い所もよく分からない。
ただ、浸れるんだよねー。私のリズムに合った文章だ。
ただし、この頃の竹河さんは。だけど。
後々、段々、重くなって苦しくなっていく。

それはともかく、
邂逅編。
大まかに言うと ティーエとラクシとボイスが出会う所。この後、19年の長い長い関係が続く。

一章 落城
プロローグが終わり物語の始まり。
読み通してみると三人の出会いが起承転結の起なわけで、一巻そのものがそれ。
本編がプロローグとエピローグと言う手法。
読んでてうずうずする。こういう表現方法。
自分が行き当たりばったりな表現しかできないから。

落城、は、 ティーエの故郷のお話。
ティーエはある共和国の元首の孫として、その国の滅びる日に生まれた。
母親は隣国のお姫様で元首の息子の許に嫁いで来たのだけど、彼女に横恋慕してた強国の王様を袖にしたことで怒りを買ってしまう。
それはなんとも粘着質の怒りで、お姫様の従姉妹と無理やり結婚し、子供までもうけた後でも収まらない。その従姉妹が子供を産み、その後で死んでしまうと、一気にその隣国を攻め落とし、共和国も滅ぼしてしまう。
その、滅ぼされた共和国の滅びる日に ティーエが生まれる。
元首はその子にトバティーエと名づけ、国と一緒に滅びます。と泣く母姫と一緒に城壁の外へ逃がす。
彼は遠い昔、伝説の半人半馬にその子が生まれることを予言されていたのだった。その子の右目は緑、左目は紫、「世界の相」と半人半馬は言い表した。

うん。
なんていうか、このおじいさん、全巻を通して余り出てこない人だと思うのだ。
でも、なんか非常に心温まるキャラなんだよね。

自害しちゃう所とか、最後まで戦わないところとか、潔すぎる感じにどうもいらいらするのだけれど、お母さんを逃がすくだりがね。
トバティーエのことなんてどうでもいいから、君は生き残りなさい。ここからにげなさい。ってお母さんに言ってる感じなの。

トバティーエと言うのはトバ女神に捧げられたものっと言う意味で。
その時点で、彼のことは神様に任せました。
後は君です。お母さん、さぁ貴女も逃げなさい。
みたいな・・・

孫は大切だけど、
今まで一緒にいた息子のお嫁さんの貴女も大切で、失いたくないんです。
って。

なら、と言いたくなる訳さ。
あんたも、あっさり自害するナや。っと。
「今まで一緒にいたお義父さん」を失いたくないのはお姫様の方だって同じなのに。みたいな。

それも分かった上での元首の自害っぽい感じが、本当にやるせない。

元首夫人のお話は元首よりもっと少ないのだけれど、その死に様と描写の少なさには控えめな優しさと芯の強さが見える感じで、やっぱり響くのでした。
達観した彼らの強さと
残された姫様の弱弱しさの章でした。

ティーエは母に連れられて逃げるとき、
一声も出さず、じぃっと何かをみてました。とさ。

二章 岩屋
ティーエ11歳。
半人半馬の所にたどり着いた母親は三日で死亡。生きる気力のない奴を治す薬は優れたお医者さんでもあった半人半馬も持っていなかった。と言うお話。
ティーエは森の動物達をお供に金太郎状態。
ただし、熊と相撲は取らずに、薬草とそれを使った治療を馬の親戚に教わっていたので、健やかに、ただし賢く育っていました。
11歳の誕生日、 ティーエは馬の親戚から共和国落城の話とその後の母の逃避行と死について聞き、塞ぎこみました。
翌日、馬の親戚に諭されます。
ティーエ、君は強い力を持っていて、周りは君に引きずられます。ほらごらんなさい。君が不用意に哀しみ塞ぎ込むものだから、風は荒れ、嵐は狂い、滝は崩れ、木はなぎ倒されてしまったじゃーないですか。だから君はもっと自分を律さなくちゃーいけません。

ティーエの魔術の才能についての描写?と冷えた目でエピソードを分析したりする自分もいないわけでも無いのだけど、それはそれ。

ティーエはこの時から魔術の修行を始めたという話。
なんて言うか、自由に悲しむことも出来ない人って、なんて可愛そうな設定。
母親、勝手に生きる気力を失うなよ。

とか、つっこんでみたり。
いや、死ななかったら全然違うお話になるんだけど。


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